放浪のメリーさん

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またある日、スマホの着信がなる。また『非通知設定』から。出てみると……。 『もしもし、あたしメリーさん。今……ぷぁーーーーーーー!!!!ぷつっ』 今度は列車の音に掻き消された……。 またある日、スマホの着信がなる。『知らない番号』から。出てみると……。 『……もしもし、あたしメリーさん。今……』 『夕飯食べていきんさい!ぷつっ』 またどこかにお邪魔しているらしい。 またある日、スマホの着信がなる。慣れてきた『非通知設定』から。出てみると……。 『もしもし、あたしメリーさん。今……』 『ちょっと君、いくつ? お父さんかお母……ぷつっ』 また補導されそうになって逃げた? またある日、スマホの着信がなる。『非通知設定』から。出てみると……。 『もしもし、あたしメリーさん。今、中仙道にいるの。ぷつっ』 ……旅でもしているんだろうか。 またある日、スマホの着信がなる。『非通知設定』から。出てみると……。 『もしもし、あたしメリーさん。今、駅前にいるの。ぷつっ』 ………どこの?? 数分後、またスマホがなる。『非通知設定』から。出てみると……。 『もしもし、あたしメリーさん。今、マンションの前にいるの。ぷつっ』 ……だから、どこの?? また数分後、スマホがなる。『非通知設定』から。出てみると……。 『もしもし、あたしメリーさん。今、《あなたの部屋の前》にいるの。ぷつっ』 …………え? 一分後、また着信がなる。『非通知設定』から。出るのを躊躇っていると……。 「もしもし、あたしメリーさん。今、《あなたの目の前にいるの》。ぷつっ」 ぷつっまでご丁寧に言った少女が目の前で笑っていた……………。 Fin
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