6・週末~

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 二人は顔を見合わせると、現場へと急いだ。タイミングのいい悲鳴に、彼らの心臓は激しく鼓動していた。 「木下係長が……、係長が……」  悲鳴に駆けつけた島田と田中は、彼女が震えながら指差す先──、ホールの角に置かれた小さなテレビへと視線を注いだ。ニュース画面が、見覚えのあるマンションを上空から映し出している。 『──マンション駐車場で発見された遺体は、ここに住む会社員、木下充さんとみて調べを進めています。近所の人の話では、ここ数日、家族と激しく口論……』  青いビニールシート、駐車場に張り巡らせられた、KEEP OUTの黄色テープ。 『……落下したと見え、自宅から遺書など見付かっていないことなどから、自殺・他殺の両面から捜査を……』  淡々と事実を語る、アナウンサーの声。  島田と田中は、画面に釘付けになった。  ばたばたと、人がホールになだれ込んでくる。そして皆、島田たちと同じように、事態に困惑し、呆然と立ち尽くした。 「木下……、お前に何があったんだ……? 何がそこまでお前を、追い詰めたんだ……?」  島田の声だけが、空しく、ホールに響いた。  *  最終的に自殺と断定された、木下の葬儀は、(とどこお)りなく終わった。  木下が役場に離婚届を提出していなかったことから、喪主は妻の愛子が勤めた。     
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