6・週末~

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 二人は、そのメモの内容に、目を見張った。  全体にぎっしりと細かく並ぶ、神経質な字。 『気がつくと朝』 『田中と飲んだ?』 『エレベーター……× 階段……?』 『離婚届』  様々な言葉。  木下があの事件の前後に記したことは明白だった。 「やっぱり、あの辺から係長に何かが起こっていたんですね」  田中の一言に、島田が相槌(あいづち)を打つ。細かい字を、一文一文、島田は上から指で辿(たど)っていく。 『サイン=俺?』  これは、離婚届のことだ。 『弁当→家から出勤、間違いない』 『離婚の理由……?』  だんだん、字が乱れてくる。  言葉の羅列が、どんどん短い文章になり、 『何故、愛子は俺と別れようとしたのか』 『俺が、間違っていたのか』 『愛子と直接会って話し合う方法がわからない』  悲痛になっていく、木下の心の叫びが、それを読む島田と田中の胸に突き刺さっていく。  そして最後、メモの終わりに、やはり小さな字で──、それこそが、自殺の原因なのだと、二人が思わずにいられない言葉が、綴られていた。 『もうひとり、俺がいる。 そいつが俺の幸せを奪っていく』 <終わり>
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