1・月曜

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1・月曜

 じりじりと夏の日差しが照りつける。アスファルトに溜まった熱は上昇し、ビルの照り返しと混ざって、更に街を燃え上がらせる。嫌な季節だ。誰もがそう思う。  こんな季節でも、スーツをピシッと着込んで営業に出かけるのは、サラリーマンの宿命とも言うべきか。世の中クールビズだの何だの騒いでいても、所詮ビジネスマンというやつは、スーツという鎧に身を固め、営業という名の戦地へ赴くのだ。紳士服屋で新調した最新の軽量型清涼スーツがなければ、今年はとてもじゃないが外回りなんてやっていられなかっただろう。清涼、というのはもしかしたら気休めかも知れない。都会の空気は澱み熱され漂っていた。スーツを通してじっとりと湿った妖怪が張り付き、午後の営業を終える頃には背中じゅうがべっとり汗まみれになる。  木下はハンカチを取り出し、汗を必死に拭った。三十代半ばの男の汗はべたべたと粘着質で、拭っても拭ってもさっぱりしない。それでも滴り落ちる汗を何とか拭き取る。 (今日も何とか終わった)  ふぅと溜め息を吐いた木下の後ろから、部下の田中が言った。     
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