【視線】

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【視線】

女はひとり、林道で途方に暮れていた。 付き合い始めたばかりの男とドライブ中に些細なことから口論となり、真っ暗な林道に置き去りにされたのだ。 携帯が入ったバッグも車内に残したまま追い出して車を発進させたのだから、性格の悪い男に捕まったと思う。 助けも呼べない状況なので、頭が冷えたら迎えに来てくれるか・・・と最初は思っていた。 それが甘いと知ったのは体感で一時間程経過し、雨が降り出した時だった。 あの男は迎えに来ない。そう悟った時の絶望感は言葉にならなかった。 何故なら置き去りにされてから今まで、一台も車が通過していないのだ。 雨で冷えた肩を抱え、女は座り込んだ。 悔しさとパニックで涙が出ては雨に流された。
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