私の初恋

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「ユイは?」 私が聞くと、彼らは顔をそむけた。 訝しみながら中へ入ると、ひとりの女性が私に駆け寄ってきて、ハグをした。 「久しぶり! 会いたかったよ!」 「え、あ、うええ?」 抱きしめられながら、彼女が誰だったか必死に思い出そうとする。 しかし、まったく記憶にない。 先に中に入っていたもうひとりの友達が、私の肩を叩く。 「愛花、そいつユイだよ」 「はあ!?」 「驚いた? 成長したでしょ」 ユイはいたずらに笑ってみせた。 一言で言うなら、とんでもない美人だ。 栗色の長い髪、くりくりとした大きな目、くっきりとした鼻筋。 シャープなアゴと、そこから続く細い首と、くぼんだ鎖骨。 薄い生地のブラウスと、ピンクのスカート。 どこをとっても、私の知るユイの要素がない。 「何があったの!?」 混乱しながら私が言うと、ユイは頬を膨らませた。 「ねえみんな同じリアクションするの酷くない!?」 「え、いや、だって、ユイ、男じゃ……」 「愛花も!? あのね! あなたたち私がオカマになったとか、手術をしたとか言ってるけど、私最初から女なんだけど!?」 「え、じゃあ、中学の制服は?」 「おさがりだったの! うちお金ないから学校に言って、学ラン許可してもらったの!」 そんな、女性だったなんて。 だったら、私の初恋はどうなったの? ジュースの間接キスにドキドキした、あの時の思いは? 宙ぶらりんとした気持ちを胸に抱えながら、私はもう一度ユイを見る。 「……いや、アリかな」 私が呟くと、ユイは少し不思議そうな顔をしてこっちを見ていた。
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