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トイレ魔人、怒号す
将太は怒りに身を震わせましたが、我が身を破滅から救う唯一の手段を握られている以上、手も足も出ません。
「クックック……大人しくなったな。では話を始めるとしよう」
「……」
「まず、お前をこの窮地に追い込んだ理由は他でもない。制裁を与えるためだ!」
「制裁だと? 」
「お前は昨日、1年B組の女子、涼美ヶ原瑠璃にラブレターを出したそうだな」
「ん? ああ、それは確かに出したが……」
「何故そんな真似をした? 」
いきなり妙なことを聞き出したな、と思ったものの将太は神妙に答えました。
「ああ、実は始業式の日にクラスの担任が男か女かで友達と賭けをして負けてしまったんだ。で、罰ゲームの約束が涼美ヶ原さんに告白するということだった」
「何故、涼美ヶ原だったのだ?」
「たまたま髪が長くて綺麗な娘だなって友達と噂してたからな。まあ、突然付き合ってくれなんて引かれるだけだと思って手紙にした。昨日の放課後下駄箱に入れたが返事はなかったから無視されたんじゃないかな。でも、これで罰ゲームはちゃんと果たし……」
言い終わらないうちに
「たわけーー!!」
と、雷鳴にも似た怒号がトイレの中に響き渡りました。
「愚かなり、風間将太! 涼美ヶ原瑠璃は先日行われたミス1年B組の人気投票で堂々1位に輝いた美貌の持ち主。彼女に対して期待もしないラブレターなど不届き千万! その罪は万死に値する! 身の程を思い知れぃ!」
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