トイレ魔人、もう一回怒号す

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トイレ魔人、もう一回怒号す

「すみません魔人様、オレが悪うございました! だからどうかトイレットペーパーを恵んで下さい!」 将太が必死に謝ると、扉の向こうで魔人が満足そうに笑いました。 「クックックッ……己の立場をようやくわきまえたようだな、風間将太!」 「ひーーっ!」 人を罠にかけて脅迫するわ、屁理屈で説教するわ、ラブレターに酷いアフターフォローするわ、ムチャクチャですが今はひたすら下手に出るしかありません。 ところが、魔人は笑いを納めると、また妙なことを言い出しました。 「だがな、せっかくの高校生活、青春を謳歌したいというお前の主張は共感出来ないこともない」 「そ、そうか?」 「うむ。そこでだ、涼美ヶ原瑠璃という緑ヶ丘高校有数の美少女を彼女になどと身分をわきまえぬ振る舞いこそ断じて許さんが、代わりに良い縁を紹介してやろう」 「良い縁とはトイレットペーパーですか? トイレットペーパーがいいです。トイレットペーパーを恵んで下さい。涼美ヶ原さんは諦めますからどうかトイレットペーパーを……」 言い終わらないうちに 「たわけーー! ! 」 雷鳴にも似た怒号が再びトイレの中にこだましました。 「愚かなり、風間将太! 目先の欲に駆られて幸運を自ら手放すとはとんだ浅はか者。トイレの洗浄水で顔でも洗って我が身を恥じるが良いわ! 」 「ひ、ひでえ、そこまで言うか! そりゃ青春したいとは言ったけど今オレが欲しいのは彼女じゃなくてトイレットペーパーなんだってば。現に紙がなくてここから動けないんだし、そうしたのはあんたじゃないか。本当に困ってるんだからさ、頼むよ魔人様ぁ」 またもや魔人を激昂させてしまった将太は、切々と訴えましたが、魔人にはこれっぽっちも通じませんでした。 「ふん、情けない奴め、貴様の泣き言など聞く耳持たぬわ。話は最後まで聞けぃ!」 「ううっ……」
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