『祖父の死と、俺のあれこれ』

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 忙しい時期、それこそ祖父が死んだような時期に死んでしまったら、なんでこんな忙しい時に……! だなんて悪態をついてしまいそうで、少し怖い。    そういえば両親とも、長らく顔を合わせていない。  大学を卒業して、上京をして、今いる会社に入社して以降、自分の事で精一杯で中々帰郷する事なんて出来なかった。  何年程、顔を合わせていないんだろうか……十年単位な気もするし、或いは案外最近会ったのかもしれない。  それほど、両親との関係は希薄なものになっていて、むしろ会社の同僚や上司、後輩との関係の方が濃厚なものだと思う。  祖父との記憶は、どうだろう。小学生の頃、川で遊んでくれたり、古い駄菓子屋で駄菓子を買ってくれたり……そのくらいだろうか。  接点があまりにもないものだから、涙が零れないのだろうか。他人事のように思うのだろうか。身内ではあるにも関わらず、心が揺らがないのだろうか。  俺は、どうだろう。  俺が死んだとしたら、誰か悲しんでくれるだろうか?  両親は悲しんでくれるだろうか?  最近有った健康診断では、「中性脂肪の数値が少し高いので油のものを控えて動いてください」と、医者に言われた程度で健康そのものだ。  同期の奴らに比べれば、髪の毛は有る方だし、まだまだお迎えは来そうにない。  ただ死ぬっていうのは、突然やってくるものだと思う。     
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