『祖父の死と、俺のあれこれ』

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 『呆気無い』なんて言葉があるように、特に何でもなかった日常が、急に崩れる事は有りうる事で、祖父の事を他人事というのはどうかと思うが、本当に、他人事じゃない。  同僚の退職の件も、そんな感じだった。  特に予兆みたいなものは無かったように思う。新しい企画を立てて、数週間前まで普通に、一緒に頭を捻って仕事をしていた。  ただ、朝の出勤時間になっても来ないもんだから上司が連絡をしたら「辞めます」と、その一言で同僚は会社から『呆気無く』居なくなった。  実際は、手続きだとかそういったものが同僚と会社の間に有ったんだろうが、俺には知り得ない話だし、知ったところで何が出来るわけでもない。  ……噂によれば、病気だそうだ。それも精神的な、病気らしい。  俺にも、そんな時が来るんだろうか。  まだまだ30代前半、働き盛りの俺にも、『呆気無い』で済まされるような出来事が起きるんだろうか。  殺人だとかで、「誰でもよかった」だなんて言って人を殺す奴も居れば、特にそういった感情は持っていなかったけれど、結果的に人を殺してしまった人も居る。  そういった出来事に巻き込まれたりするんだろうか。  或いは、同僚と同じように、急に病気になったりするんだろうか。  俺に何かあったとして、誰か、悲しんでくれるだろうか。  会社の奴らは、何か感じてくれるだろうか? 迷惑だと思うくらいだろうか?     
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