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「調子に乗ってて、ウザいよね」
「あんだけ邪険にされてんのに、諦めないとか」
「普通だったら、諦めるっての」
「あの女、普通じゃないんでしょ」
数人の女子がこっちを見て言っている気がするが、気のせいだ。
そう、陰口なんて気にしたら負けだ。
真幸に絡む私を邪魔に思う人達がいることなんて、本当は分かっている。
香織が心配してくれているのは、このことだろう。
真幸は素っ気ないところがあるが、基本的に優しい。
そういうところが本人は気づいていないけど、人気なのだ。
まぁ、この程度の陰口で心は全く折れないので、真幸に話かける。
「真幸、一緒にご飯食べようよー」
弁当箱をぶんぶん振り回しながら、真幸に話しかける。
「友達と食べてろ」
香織の存在を口に出す辺り、どうやら今日は何やら用事があるらしい。
「おっけー」
深く追及せずに立ち去る。
何処からかクスクス笑う声と舌打ちが聞こえた。
素直に断られた私をいい気味だと笑えばいいのに、多分あっさり引き下がったのが気に食わないのだろう。
「香織に会いたい」
こういう時、香織がさばさばした性格である心地よさを感じるのだ。
「真幸、帰ろー」
何時ものように立ち寄った教室に、真幸の姿は無かった。
「あいつ、先生に呼ばれてたよ」
名前も知らない男子にお礼を言って、立ち去ろうとしたところで、手を掴まれた。
「ちょっと、いいかしら?」
気が強そうな雰囲気の女子。
個人的にお引取り願いたいタイプである。
「ちょっとだけなら」
嫌です、と断れたら楽なのに、と思うものの、余計に話がこじれる気しかしないので、受け入れる。
値踏みするような視線が刺さった。
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