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「誰か恐い話しらない?」
仲間がそう言うと、女の子が手を挙げた。
仮に鈴木さんとする。
鈴木さんのお兄さんが、この合宿に行くと行ったら、この目の前にある海で起きたある事件の話をしてくれたそうだ。
以下は鈴木さんの話。
ある社会人の男性が同僚と一緒に海水浴に来たそうなんです。
海水浴と言っても、仕事終わりに夜の海でちょっと遊ぼうぜという感じの・・・。
車で5人で出掛けて、着いた頃にはもう真っ暗。
じゃんけんで帰りの運転手決めをして、他のメンバーは飲酒して騒ぎながら飛び込んだり、互いを海の中へと投げ飛ばしたりしてた。
さて、遊んだし帰るかと海から上がりタオルで体を拭いていると、1人いない事に気がついた。
名前を呼んでも、近くを探しても見つからない。
これはヤバいとなって警察に連絡して直ぐに捜索が始まったものの見つかることはなく、後日連絡すると言われて自分達は心配しつつ家へと戻った。
しかし、何日経っても同僚は見つからない。
不安な毎日を過ごしていると、警察から電話が入る。
遺体が発見されたのだが、親御さんに確認してもらったが分からない、最後に会っていた皆さんにも確認してもらえないか、と。勿論DNA鑑定はするそうだが、逆に言えばそうまでしないと分からない状態なのか?
皆青ざめた顔をして遺体の保管場所へと向かう。
案内してくれた刑事さんは遺体の損傷が激しいもので・・・気分が悪くなったら直ぐに出て下さって結構ですと言ったそうだ。
心して部屋の中へ入ると、ドラマや映画でしか見たことない景色がそこにあった。
身体全体に白い布を被せられているが、何かおかしい。
短いのだ。
大人の男の身長などない。
皆が顔を見合せ息を飲む。
ゆっくり捲られていくと徐々に現れる同僚・・・だった、何か。
大分腐敗も進み、眼球のあったであろう箇所はぽっかりと黒い穴があるだけ、皮膚もあちこち食い散らかされたように抉れている。
それだけで皆が耐えきれず顔を背けた。
「あの、か、体は。下半身は?」
「恐らく、大きな魚にでも食い千切られたのではないかと推測していますが、まだなんとも。」
それはとても衝撃的な出来事だったに違いない。
しかし、話はそこで終わらなかった。
その後、その海岸に幽霊が出ると言う噂が流れ出す。
男の霊で、夜中になると海岸にいる人に、自分の体はどこだと聞き回る。
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