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言い終えてからというものの、めいっぱいの力で強引に章人の体は仰向けにされてしまう。再び馬乗りをしにこやかに見下ろす翔吾の瞳に章人はつい舌なめずりをした。
胸が大きく高鳴っている。予想もしていなかった言葉と、慣れない手つきで章人の躰に触れる翔吾の指先に今にも感情が爆発してしまいそうだった。積極的な翔吾の動作に身も心も喜びを感じ、押し倒してしまいたくなる衝動に駆られたが全力で自分の理性と闘う。
「しょうちゃん、俺は間違いなく今後もしょうちゃんの傍を離れないよ。どんなことがあっても必ず」
「そっか……あきちゃん、そう言ってくれるだけで嬉しいよ。ありがとう」
「だ、か、ら──」
「ちょっ、ちょっと! あきちゃん!?」
戦った末に勝利したのは欲望。理性はあっという間に敗北を喫し、瞬く間に章人の中で黒い感情が渦を巻きはじめた。
もう止めることはできない。
己の体に微かに触れていただけの翔吾を力づくで引き寄せた。バランスを崩した翔吾は呆気なく章人の体にしがみつき、仰向けのままの章人を抱き締める形になった。章人は翔吾を強く抱き留める。
「しょうちゃんは……俺に犯されてて?」
翔吾が責めるだなんて柄ではない。あとはそう──微笑むだけ。
(おわり。)
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