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「…………路駐してるから早く戻らなきゃいけねえんだよ。いいから」
しばしの沈黙のあと、面倒くさそうにそう言い放ち、手にしていたビニール傘を奈子へ押し付けた。思わず彼女もそれを掴む。
「あ、ちょっと」
「ずっとここにいたら邪魔だろ。それに」
「?」
戸惑ったように呼び止めようとするも、彼はさっさと店内へと足を向けた。自動ドアが開く。奈子を振り返りながら彼はからかうように口端をあげた。
「雨のせいでそれ以上くるんくるんになったら恥ずかしいもんな」
奈子が固まっている間に、じゃ、と軽く言って洲は店内へと入る。ドアが閉まったところで奈子は我に返った。
「これはパーマなんですうううううう!!」
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