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思わず話し声よりも大きな声で傘を抱えながらドアに向かって叫ぶ。しかしそれに反応したのは何事かと外を見る店員だけで、洲は悠長に雑誌が並んでいる棚の前へと移動していた。
奈子はそのことに気づいて恥ずかしそうに視線を地面へとそらすと、受け取った傘を広げ、ガラス越しにその棚の前に立つ。
「洲くん、聞いてんの!?」
「…………」
そう訴えると、雑誌を広げていた彼は少し奈子を見てまた誌面に目を落とした。そして、左手であっち行けというように手をひらひらさせる。
「もおー!」
仕方ないのでそのまま行くことにし、コンビニに背中を向けた奈子は信号まで歩いたところで取っ手に何かがあることに気付いた。
「なにこれ?」
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