「転校生は変な奴」

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「牛浜から来ました霧鎌亜湖です、あと半年ですがよろしくお願いします」 むかまあこと名乗った女はぺこりとお辞儀をして一番後ろの席に向かった。 「何あれ、キャラ濃くない?」 「ひょっとこのお面とかやっば……」 「いや、でも声は可愛いから案外顔も可愛いかもよ?」 クラスメイトがざわついているのを頬杖を付いて眺める。 「霧鎌は色んな事情によって面を付けてるけど、仲良くしてやれよー」 担任の先生がそう言うと何人かの生徒が「はーい」と返事をした。 「じゃ、今から自由時間な!」 その一言で霧鎌の周りに生徒が群がった。 「牛浜ってどんなとこなの?」 「彼氏おるー?」 「そのお面ってなんでつけてんの?」 「え、えっと……」 かわいそうに戸惑っている霧鎌。 (ま、俺には関係ないか) 机に伏せながら寝ようとするが周りの声がうるさくて寝られない。 「ねーちょっとお面とってみてよ!」 「!!」 「痛!」 パシッという音と女の悲鳴に伏せていた顔を起こす。 「うっわ、そんな怒ることなくない?」 「あ……」 話の流れ的に手を抑えている笠村が霧鎌のお面を取ろうとしてその手をはたかれた様だ。 「もういいや、いこ?」 「あ、麗羅が行くなら私も行くー」 「……ごめんなさい」 笠村が霧鎌の机を離れると数人の女子生徒がそれについていった。 (いじめとかになったら面倒だなー……) そんなことを考えながらやっと少し静かになった教室に眠気が襲ってきた。
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