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「端田君、もうお昼の時間だよー?」
「あー……蔦岡、さんきゅ」
声を掛けて起こしてくれた蔦岡に礼を言って伸びをする。
「端田ー、ほれ!」
「櫻崎、いつもわりーなー」
焼きそばパンとメロンパン、コーヒー牛乳を買ってきてくれた櫻崎に金を渡す。
「いいって、ついでだしなー」
「ありがとよ」
櫻崎に手を振って焼きそばパンを食べながらチラッと霧鎌を見る。
(ボッチ飯、友達はやっぱできなかったか)
焼きそばパンの袋をクシャっとまとめて最後の一口を食べ終える。
「拓海くーん、これあげるー」
「笠村、チョコ?ありがとう」
差し出してきたチョコを受け取ると俺の机に座る笠村。
「人の机に座んなよ……」
「いーじゃん別にー!なんか話してよーあ、メロンパン一口頂戴」
へらへらと笑いながら俺が食べているメロンパンに手を伸ばす笠村。
「んまー」
「わざわざ食いかけの部分食べなくてもよかったのに」
食べていない所を千切るのかと思ったがそのまま噛り付いたので苦笑する。
「そういえばあの転入生と仲良くしないのか?」
にこにこと笑っている笠村に「転入生とか好きだろ?」と尋ねる。
「だって叩かれたんだもん!あんな乱暴なこと仲良くできないもん」
唇を尖らせながら答える笠村。
「それはお前が無理やり面とろうとするからだろー?」
「だって気になるじゃん!もう、拓海君はあいつの味方なの?」
やれやれと肩を竦めると霧鎌の味方なのかと聞かれたので「興味ない」と答える。
「ならいーじゃん」
「ま、お前が面倒なことしなきゃいいけど」
俺がそういうと一瞬目線が逸れたので一応釘を刺しておく。
「いじめとかくだらない事、笠村はしないって俺は思ってるけどな」
ニッと笑うと「しないよ、そんなこと……」と俯く笠村。
(しようとしてたなこいつ……ま、もう平気だろ)
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