0人が本棚に入れています
本棚に追加
そのあと友達に呼ばれた笠村が去って行って、俺はコーヒー牛乳を飲み干した。
(もうひと眠りするかー)
一つ欠伸をして机に伏せる。
「おーい、端田ー授業終わったぞー」
「んー、櫻崎……すまんありがとう」
次に起きた時はどうやら授業がすべて終わった後だった。
「ふわぁー……」
欠伸をしながらスクールバックを背負い教室を出る。
「ん?」
前を見ると霧鎌が歩いていることに気が付いた。
(帰り道一緒なのか)
数メートル離れて歩いていると何かに躓いて霧鎌が転んだ。
「ありゃりゃ、痛そ……大丈夫かー?」
近づいて声を掛けるとこっちを見た霧鎌。
「一緒のクラスの……」
「端田拓海」
手を差し出せば恐る恐るといった様子で手を取って立ち上がった。
「あ、ありがとう……」
「あぁ、怪我は?」
パタパタと制服をはたいている霧鎌に尋ねる。
「うん、大丈夫だよ」
「そっか、じゃあな」
霧鎌に軽く手を振って歩き出すと制服の裾を引っ張られて立ち止まる。
「あ、あの!!端田君はどうして人気者なの!?」
「人気者?」
怪訝な目で霧鎌を見つめるとぎゅっとスカートを握りながら話し始めた。
「寝てるだけなのに友達が寄ってきたり、わざわざパンを買ってきたりしてたから」
「あ、なるほどねーまぁ別に俺が人気者なわけじゃないけど?あいつ等が良い奴ってだけ」
そう答えても納得のいってない様子の霧鎌。
「それだけじゃないと思うんだけど……」
「さー、俺にはわからんな」
俯く霧鎌にどうしたものかと溜息を吐く。
最初のコメントを投稿しよう!