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アイリside
やっぱり。
私と似た、魔力の存在。
にいさま だわ。
「早く!」
逃げたときと同じように、焦りの混ざった声で危機を知らせる。
慌てたように私の伸ばした手を取って同時に走り出す。
男の子だからか、私が走っても息が切れていない様子。少しスピードを上げて、木々を避けながら器用に進む。
そういえば、この森の事を自分のもののように話していたから、自分の領地なのだろう。
納得がいく。
そんな無駄なことを考えながら、さっきまでは痛かったはずの足で地を蹴る。
「見つけましたよ」
優しいにいさまの声が、どす黒く光る。
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