再会、そして再失

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「見つけましたよ」 優しい言葉なのに、棘を感じるのは俺だけだろうか。 私だけ 「さぁ、帰りましょうか」 お兄様の魔力抑制が首に付けられる。 「嫌!帰りたくない!あんな窓が一個しかない家なんて!」 和ませようとした言葉は誰にも響かなかった。 「おい!、アイリを放せ」 すごい顔をしてお兄様のを見つめるチサト。 「またあなたですか、しぶといですね。まるで地を這うゴキブリのようだ」 自分が中傷されているにも関わらず、チサトはお兄様の腕をギリギリと締め付ける。 「我が城への道よ、切り開くがよい!」 にいさまがそう言い終わる前に、チサトが何かを叫ぶ。 「時よ!青に染まりし時よ!今この時を止めたまえ!」 ゴーン!!! 青色の時計が横になってチサトを中心に動きが止まる。 私の頭に電流が流れたように、口が勝手に動く! 「チサト!」 そう、思い出したのだ。大切にしていた彼の事を。だから… 「open my road!」 魔力抑制はにいさまの思い通り。にいさまが考える魔法は許可される。 私の近くに彼は居てはいけない。 にいさまの思惑通りに動くことになったのだ。結局は。 にいさまとは、そう言う人だ。 家への道を自ら開き、連れていかれる。 チサトが何かを泣き叫んで居たが、私にはもう届かなかった。 にいさまがどんな顔をしているか、私には想像もつかなかっただろう。
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