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ガラガラ
「だぁ~りん!会いたかったわ!」
「煩いララ。お前腹いたいんじゃなかったのかよ」
「ダーリンとの愛で治っちゃった」
「なんだよそれ」
ララと呼ばれる可愛らしいツインテールの女の子が私を見る。目付きは急に変わり、声色も刺々しくなる。
「ねぇ、チサト。何でアイリが私の席にいるの?」
「は?お前、こいつ知ってるのか?」
「当たり前じゃない。前から居たし」
ば、バレませんように!
「私が保健室いってる間、こいつが私の席に居たわけ?チサトの隣に?しんっじらんない!て言うか、いつからこいつの事気になってたの?」
そう言ってヅカヅカと私に近づき、
「邪魔。ここ私の席なんだけど。退いてくんない?」
は、はぁ~!
私、自分の意思で座ってないし!
あなたの大好きなチサト君が決めたんですけどお~!
「よせ、ララ。お前の席はあっちだ」
そう言って自分の席の対角線上の端を指差す。
「な、何でよチサト!この女の味方をするの?」
「俺が決めたんだ。聞かないと破棄するぞ?」
「う''」
破棄?何の話?
「て言うか、お前も最初ここに居た奴の席奪ったじゃないか」
「う''!」
言い訳出来ないような顔をしている。
何かすっごいのが来たな。
これからも何か嫌なことで関わりそう。
「フンッ」
プイッと後ろを向き、教卓近くの自分の席に座る。
キーンコーンカーンコーン
「大変だったねぇ、アイリちゃん」
うん。
「本当、良いよねララちゃんは。チサト君の婚約者なんて」
…
ん''?
こ、ここここここ
「こんやくしゃぁ~!?」
「ビックリしたぁ。アイリちゃん、急にそんな大声で叫ばないでよ」
開いた口が閉まらない。
この歳で?
嘘でしょあり得ない!
てか、そんな人もいるのに私と親しくしてていいの?記憶なくなる前だって!
本当、意味わかんない!
あ''~~~~!
[いつか結婚しよう]
[うん!私、チサト君のお嫁さんになる!]
[ああ。約束だからな]
[うん!]
待ってくれ。
そいつを連れていかないでくれ。
頼むから。
俺の大切なものなんだ。
俺の力が無かったから。
俺がもっと強ければあいつは…。
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