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出発
「おはよう、ホノカ」
「おはようアイリちゃん!、ち、チサト君もおはよう」
「ふぁ~、おはよ」
あくびをしながら挨拶を交わしている。
何故なら今は霧のかかるほど朝の早い時間だからだ。
お母様にバレたら怒られそうだからと、ホノカの提案だった。まぁ、ホノカの森なんだから、別に大丈夫!ホノカの為なら!うん!
※ホノカは緑の国のお姫さまだよ!
「早く行こうぜ」
「あれ?ララは?」
私が問いかける。
「あぁ~、あいつ?起きねぇから置いてきた」
な、何て残酷な奴!
まぁ、静に出来るのは良いことだけど…可哀相だな。何か。チサトの事が好きなのに、好きな人にこんな風にあしらわれるなんて…
「アイリちゃん?早く行こう?」
「う、うん!」
そんな気持ちを隅に追いやって、前の二人に追い付こうと走り出す。
ガァッガァッガァッ
バサバサバサッ
い、意外にみどりの森怖っ!
青の森はもっと暖かい感じがしたけど…
私の気持ちを察したのか、チサトが教えてくれる。
「この森は結界がそこまで行き届いてないんだ。開拓途中って感じだな。対して俺の森は爺ちゃんがなん十年もかけて調べたからな。抜かりがないんだ。今は父さんが結界を引き継いでる」
なるほど。そう言うことか。
「あ!この橋を渡るの!」
はいはーい。って、
「ええええええええええええええぇ!!!」
「うわー、ボロいな」
む、むりむりむり!こんなの渡れない!落ちちゃう!
「お前、分かりやすいな」
な、なにが!?
「今何がって思ったろ?」
う''
「お、思ってないし…」
「じゃ、お前は一人で渡れるな」
「は、はぁ?」
「丈夫そうだし」
な、なにそれぇ~!
確かに、ホノカの方がフワフワしてて可愛いよ!もう、世界一ってぐらい!
でも、(一応)女の子にそれはなくない!?
「よし、行くか」
「う、うん!」
ホノカが頬を赤らめる。
ホノカ!私は!?
二人とも慎重に渡り、反対側へと移動する。
ギシギシ…
「っと、ほら、お前も渡ってこいよ!」
「か、簡単に言わないでよ!」
いくら飛んでるからって、落ちるのは怖いんだもん!
「っつ…」
ギシギシと揺れる橋。二人よりは大きく揺れはしないけど、一人だともっと怖い。
「あと…半分…!」
あと半分で着く!
そう思った時だった。
「アイリ!早く渡れ!」
「アイリちゃん!早く!」
どうしたの?二人とも。パニクるからちょっとやめてよね!
二人の目線の先を見る。
そこには
「キキキキッ」
「ギ、ギャァァァァァアアア!!!!」
リフラッタとウォッタ。
どちらもネズミのような姿をしており、属性で名前が変わる。
(他にもファイアッタ、ライタ、ダクータ、ソイリッタなどがいる)
橋のロープを噛み千切っていくラッタ達。
私は猛ダッシュ。
そして反対側に…
ブチ
「うわぁぁあ!!!」
…
落ちたのだった。
二人が見えなくなる。
バッシァーン!
「プハッ」
あ、危なかったぁ!
川で良かった~ここ。
ん?
川?
流れ行く先は…
「ぅわぁあああ!」
モチロン、滝。
「キャアッ」
間一髪岩壁に生えた木に捕まる。
ここで翼を乾かそう。
ほ、本当に危機一髪…あ、髪だらけだな。
そんなことどうでもいい!
兎に角、
ホノカとチサトとはぐれちゃったな。
ほんと、運悪いな。
日頃の行いかな?
…
いや、それは無い。
チサトの方が悪いことしてそうだもん。
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