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逃亡
タタタタタ…
長い長い廊下を、出来るだけ物音をたてずに走る。
左、左、右、左…
城を抜け、庭の監視こうもりを伺いながら、サクサク庭と出る。
迷路のような道も、今ではもう慣れて考えなくても分かる。
噴水、三重の扉、門…!
早く、
早く外へ!
後ろから凄まじいブザーが鳴っているのが分かる。
気にもとめないで…いや、気にとめないように、足を早める。
そして、砂利だらけの道の先に、青々とした森が見えてくる。
自分の脳内のブザーも、荒々しく、けたたましく鳴り響く。
体力の限界も、もう過ぎて、
脇腹が痛いのは気にしない。
そんなことよりも、早く、
早く!
上がらない足に鞭を打つように、
自分の心にも鞭を打つ。
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