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「そろそろ乾いたかな」
翼をパタパタ動かしてみる。
うん。異常無し!
バサァ
「っと、あ…」
川から出たものの、道が分からない。
「さ、さっきの道を辿って…あれ?」
景色が違う。
確かさっきまで川があって、その脇に木が繁茂してて…
が、今は川もなく、木が繁茂しただけのようになっている。
「おっかしいなぁ~」
確かにさっき川から出たばっかりなんだけどな。
…
一人でボーッとしてるより、私も動こう。
空中で濡れた服を絞り、炎魔法で乾かす。
「よぉーっし、行くぞ!」
オーのポーズをとり、(万が一翼をチサトとホノカに見られない為に)着地し、歩きで進む事にする。
…
少し歩くと、不思議な気配を感じて、その方向へ足が勝手に進んでしまう。たどり着いたのは、洞窟だった。
「うわぁ」
暗くて何も見えないや。
ボゥッ
炎魔法の火を掌に置き、進む。
どんどん薄暗くなるなぁ…ちょっと怖いかも。
「ひよっ」
背中に冷たいものが…
「び、ビックリしたじゃん!もぉ~、驚かせないでよね!変な声出たし…」
天井の鍾乳洞から垂れた水だった。
だが、怖い気持ちを倍増されるだけなので、わざと大きめに声を出す。
「チサトとホノカ、どこにいるのかなぁ」
なんだか疲れちゃった。
オオオオオオゥオ
「何、今の」
オオオオオオゥオ
何かおぞましい怪物の声みたいなのが響いてた気がするんだけど…
自分の背後に凄いオーラを感じる。悪寒がする。あ、こいつはヤバイ。逃げなきゃ。
が、足は動かない。後ろを体を捻って見ることを試みる。
代わりに、巨大な影と赤い複数の目によって、この森につんざく自分の悲鳴が響いた。
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