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変化
バサバサバサッ
「ホノカ、今の聞いたか?」
「え、ええ。アイリちゃんの声だったわ」
「チッ…行くぞっ!洞窟の方だ!」
さっき通ったが、ヤバそうな雰囲気がし、ホノカを危険な目に逢わせないため、避けたのだが…
あのバカっ。
タタタタタタタ…
「ひゃっ」
「どうした?」
ホノカの短い悲鳴が聞こえたらため、尋ねてみる。ああ、嫌な予感しかない。このオーラは…
bloodspider(ブラッドスパイダー)
複数の赤い目をもち、硬い糸を操る。俺の森にも居たが、小さかった。が、これはダメだ。もうすでに10年は生きている。
ウウウウウウウォウ
「あ、アイリちゃんがっ」
「なにっ」
「おいアイリ!目ぇ覚ませっ!おい!聞いてんのか!おい!」
ダメだ…起きねぇ。
「アイリちゃんっ!」
「…ん…」
やはり女の高い声は起きるか。そのまま起きててくれよ…
「アイリ、糸切って逃げろ!ここからじゃ力加減が出来ねぇ!早く!」
「kill…」
「は?」
なんだか様子がおかしい。どうした?早く逃げろ!
「kill a dream!」
訳の分からない呪文を唱える。彼女の髪が、茶色から金髪へと変わっていく…目も紅く変色している。
ニタニタしながら蜘蛛の痛がる姿を満足そうに眺めている。
どうしたんだ?
「殺させないよ」
と、後ろから聞きおぼえの無い男の声が聞こえる。歳は同じくらいだろうか…俺の紺色の髪とくらべて黒っぽい長めのショートヘアーの男が立っていた。目に光は入っておらず、学校でも見たこと無い。
そいつは身一つでアイリに近づいていく。
蜘蛛を倒すのを楽しそうにしていたアイリが振り向く。
すぐにアイリの目を塞ぎ、優しく宥める。
「駄目だよ、アイリ。こんなことに力を使う必要ない…君は綺麗だ。だから、手を汚してはならない」
そう言って、アイリを抱き締める。
「っな!」
その瞬間、アイリが力尽きたかのように静にその男に倒れこむ。
「っつ!お前、何者だ」
出来るだけイライラを沈めながら話しかける。と言うか、なぜイライラしているんだ。
「そんなに起こらないでよ。青の城の皇子様」
こちらの身元は分かっているのか…
「先に名乗らないとは無礼だな。もう一度聞く。お前は何者だ」
「ハハッそうだね。まだ名乗っていなかったようだ。まぁ、アイリの秘密を知る、重要人物ってところかな。さ、アイリは返してあげるよ」
そう言って静かに地面にアイリを置く。
「おい!秘密って何だ」
「さぁ、それは今から君たちが見つけるんだよ。じゃあ、僕はここで」
see youなどとふざけたことを言い、奴は去った。
一体、どう言うことなんだ…
気絶したホノカを起し、アイリを担いで森を出ることにする。
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