蒼い夢

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蒼い夢

あぁ、久しぶりに夢を見た。 とても懐かしい夢。 まさか自分の国の領域の森で、迷うなんて思いもしなかったな。 あの娘は… 慌てた様子で木から飛び降りてきた。 ボロボロだったのも覚えてる。 でも、なんだか楽しそうにしていて… 少し、羨ましかったかな。 ブザーの様な音が聞こえると、 俺の手を引いて走っていく。 一晩一緒に過ごしたっけ。 名前も言い合ったし、 将来の夢も語り合った。 あの娘がいたら、何でもできそうな気持ちになれたんだ。 何でかな、 とっても楽しかったんだと思う。 時々、夢だったかも何て思った事もある。 でも、あれは本当にあった。 自分でも曖昧なくせして、それは、分かっている。 あの娘の名前は… えーっと、何だっけ? 忘れないようにしていたのに。 やっぱりいつもみたいに忘れるんだ。 あれ? どんな娘だっけ? どんな姿だっけ? やっぱり思い出せない。 あれ、 眠くなってきた。 あの娘は… 連れ去られて… 泣いていて… それで… 「おかしいですね」 「何が?」 「記憶は消しておいたはずなんですよ。あの少年」 「あぁ、あの坊主ね?放っておいても大丈夫でしょ。ただし、アイリには近づかせないで頂戴。良い?それをアイリにも悟られないように。命令よ」 「仰せのままに」
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