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「痛っ、」
木から飛び降りた拍子の着地がうまく行かず、捻った足を氷嚢で冷やす。勿論、魔法の一部で作ったオリジナルだ。暑い日にいつも助かっている。
木下で休んではいるが、もっと遠くへ逃げないとという焦りの気持ちが行動を生半可にさせる。
大分よくなってきた。
治ってはいないが、すぐここから進まないと、また捕まってしまう。
「今日は上手く行きそうな気がするんだ」
私は空中に話しかける。ボッチな訳ではない。
「ヨル」
呼び掛けると、オーラと姿を消していたヨルが現れる。
「アイリ、今日ハ俺モ行ケソウナ気ガスルンダ!」
片言のような言葉に一人でいた緊張からか、安堵してしまう。
「心拍数モ落チ着イテキタナ!」
「うん、」
こういうときは、煩い方が助かる。
一人はやっぱり辛いけど、独りで過ごしてきたからか、前より寂しさを感じない。でもやっぱりどこか寂しい。そう言うところが、自分がまだ子供だなと思えてしまう。
少しヨルの説明をしよう。
ヨルは天気龍。ゴツい感じのではなく、中々小さく、スタイリッシュだ。
その他にも、アサとヒルが居るが、二人は天気を今、司って居るため、姿は見えない。
逆に夜になると、ヨルの姿が見えなくなり、アサとヒルがそばに居る。
力的には、アサ、ヨル、ヒルの順で強い。
天気の長さで決まるのだろう。
…
ヤバイ
「ヨル、気配消して!」
「ン?」
「早く!」
ガサガサッ
…
「……」
やっぱり。
見回り蝙蝠(コウモリ)。
しかも、にいさまの護衛用。
あいつら、優秀なんだよなぁ~。
「アイリ、俺モ優秀ダゾ!」
顔に出ていたか。( ・ε・)。
ヨルは体調や顔色を窺うのが得意。
アサは時間の組み立て(予定)をするのがうまい。
ヒルは道をすぐ覚える、又は上空での道案内に優れている。
それぞれ力はあるけど、その他にも人間的なものもある。
私にはオーラ消しはできるが、気配消しはできない。なので、前に抜け出した時に町で買った魔術入りの液体を、魔力の出やすい手なおでこ、目の回りなどに充分に塗りたくる。
案外少し草臭かった。
ある意味良い香りだが。
「行った、かな?」
蝙蝠の気配がなくなる。
「ヨル、行くよ」
「リョウカイ!」
バサッ
翼を出し、走って勢いを着けてから、飛ぶ。
ヨルは元々飛べる。
目立ちやすい格好をしているので、もう少し気配消しとオーラ消しを強める。(塗りたくる)
上空はやはり風が強い。そして寒い!
「ヨヨヨヨル!さ、さぶい!」
「見テ分カルゾ!降リルカ?」
「ごめん。ありがと」
ゆっくり下降していく。
そして…
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