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第一章【非日常のウサギと猫と魔法】
消えてしまいたいと、わたし『叉鏡ありす』はよく考える。
けど、本当に現実から消えてしまいたい訳じゃない。
この場から消えてどこかへ行くことができないか、そんな魔法のような願いをいつも抱いていた。
悪意から身を守るには『逃げる』のが手っ取り早い。
力のないわたしは、戦う事を避けてしまう。
この前だって上手く逃げられなかった。そのせいで、大切にしていたウサギのキーホルダーを無くしてしまったのだから。
――『本当に魔法が使えたら良かったのに』
そう。
わたしが非日常へと足を踏み入れたのは、白ウサギを追いかけて不思議の国に迷い込んだ少女と同じ、とても現実離れした出会いからだった。
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