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返す言葉が見つからず、苦笑いを浮かべた。
「私としては、千香さんさえ良ければ嫁に迎えたいところだが、 」
「え。何言よんですか沖田さん...。 」
沖田のまさかの発言に、千香の鼓動が早まっていく。
「というのは、嘘で、 」
ええ!?と千香はずっこけた。
「嘘なんですか!もう!心臓に悪いこと言わんといてください! 」
「というのも、嘘で、 」
「も、もうええです。突っ込まんときます...。 」
千香はこれ以上沖田の応対をするのは疲れると思い、皿や湯呑みなどを盆に乗せ部屋を後にした。
「あの、沖田先生。 」
「ん?何だ泰助。 」
千香が去った後、沖田の顔が何処と無く寂しそうな顔に見え、泰助は思わず声をかけた。
「沖田先生は、本当は、千香様のことをす...。 」
沖田はそこまで言いかけた泰助の口に人差し指を当て。
「それ以上は、言うな。 」
「本当は、総司兄ちゃんは、千香姉ちゃんのこと好いとるんやな。せやから、さっきも。 」
「こら。銀次も。...千香さんには、決してこのことを口外しないように。 」
沖田の有無を言わせぬ雰囲気に、こくりと、黙って二人は頷いた。
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