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貴方の眼にはどう映りましたか。
日毎に勢いを増していく争い。
大切な人を失った人たちの、涙が。
大勢の死んでいった仲間たち。
今はもう逢えないけれど、そんな時代を生きた貴方だからこそ、頼みたいことがあるのです。
どうか、次に生まれ変わった時には、何にも縛られず好きなことをして生きてください。
きっと貴方が生まれる世では、皆が笑いあえて毎日美味しいご飯を食べられる筈です。
そして、どうか。
私のことは忘れて下さい。
もし覚えていればずっと辛い記憶を背負って生きていかなければなりません。
覚えているのは、江戸で楽しかった思い出だけで良い。
そしてもし、またいつか逢えたとしたら心からの笑顔を見せて下さい。
私は貴方とこの時代にいられて、本当に良かった。
そして、少しでも貴方に安らぎを与えられていたならば。それだけでもう、充分なのです。
段々と、意識が遠のいて参りました。
きっと元の時代へと帰るのでしょう。
貴方が作って下さった未来を繋ぐために、私は自分の世で、この想いを胸に生きていきます。
それでは、最後に一つだけ。
私は、心から貴方のことを好いていました。
貴方が私を忘れようとも、私は貴方の笑顔を、瞳を決して忘れません。
どうか、貴方の来世が良いものになりますように。
この世界の何処かで、誰よりも貴方の幸せを祈っております。
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