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「うん...。でも、森宮、さんが屯所に入る前に土方さんに一言だけでも言っておいたほうがいいかも。 」
千香はその後ろに続きながら、藤堂と言葉を交わす。
屯所へ着いてから、真っ先に土方にその旨を伝えると、一先ず落ち着くまではいいだろうと許しを貰うことができた。
空いている部屋が無いため、千香は自分の部屋に蒲団を敷き、峻三を寝かせる。
「すみません。他の方の手当てがあるので、先ずはここでお休みください。終わり次第戻って参ります。 」
「正に至れり尽くせり。かたじけない。 」
蒲団に横になりながらも、何とか頭を下げようと首を僅かに動かそうとする峻三に、千香はにこりと笑い。
「いいえ。人間、困ったときはお互い様です。 」
障子を開けて廊下へ出ると、千香は一人呟く。
「私が知ってる歴史に、森宮峻三なんていない。ちょっとずつ歴史が、変わってるんだ。 」
何処からか底知れぬ物を感じ、身震いした。
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