『胡蝶の悪夢』

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   椅子に身体を預け、これ以上、一歩も動けない私でも出来る事がある。バリケードを突き破った奴等が、この部屋に飛び込んで来るのと同時に、私は手の中のリモコンのボタンを押し込んだ。  火薬量は容赦なし。  どうせ、死んだ私が使える訳じゃないから、あるだけ使ってやる事にした。  2トンを超える火薬と、屑鉄のスクラップと、文明が崩壊したこの世界ではこういった事にしか使い道がなくなった硬貨。  そして、小屋は瓦礫の雨となって奴等と私を押し潰すだろう。私の最後の悪足掻きは『何匹』道連れに出来ただろうか。  身体を爆風と金属片でズタズタに。  押し潰してくる質量でぐちゃぐちゃに。  まるでスープだ。奴等も私も。  小屋の地下室の空間という『鍋』に、スープみたいになって溜まっていく。  どうせ助からないから別にいいんだけどさ。  ……いいんだよ。人として、自らの意思で死ぬのなら。  
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