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 香の傍に控えているあの騎士様は、守護霊だ。私が勝手にそう読んでいるので正式な名称なんて知らない。守護霊だといいなと思っている。個性的な姿のものが目立つけれど、きちんとご先祖様らしき人物がついて行っているのだ。  ただ、見えるからと言っていいことはない。ただ、毎日が面白くはある。怖い体験は、実はそんなにない。  出会うのはほとんど守護霊だと思っているものたち。幽霊などはレアな存在だ。もちろん、発生しやすい場所はある。だが、普通に生活している私はそんな場所に行かないし、だいたいはその場に佇んでいていつの間にかいなくなっている。たぶん守護霊がなんとかしているか、残る力がなくなってしまうのだろう。  残念ながら私は自分の守護霊が―――いないのか、見えないのか―――分からないので詳しいことは知らない。 「恵理?」  香の手が、目の前に現れる。私はあいまいに笑って誤魔化す。 「ああ、ごめんね。ぼんやりしていた。どうしたの?」 「教室行こう。立ちっぱなしだと迷惑だ。ただでさえ一限目の先生は早く来るし」 「そうだね。行こうか」  ちらりと珍妙な守護霊たちの姿を眺めつつ、香について行く。私がここ最近注目している人は周りにいないらしい。そうそう簡単には会えないのは分かっていても、目で探すのを止められない。  私が探している人は、この学校で知らないものなど誰もいない。私たちのように高校生になりたてでも知っている。  なんていったって、2年生にして栄えある生徒会長となった人なのだから。
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