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夜の木陰に身をゆだね
目を閉じ耳を澄ませてみると
青色の風がさわさわと歌っている
太陽は地平線の下にそっと身を隠し
ぼんやりと光る空と大地は
まるでオペラ座のホールのよう
人っ子一人いないこの空間で
大小さまざまな風達が奏でる合唱を
僕は独り占めしているのだ
大人達は自らが生み出した汚れから逃れようと
ありもしない清純な地平をあちらこちらと探し回る
彼らは気づかないのだろうか
家から五分のこんなに身近に
美しい空間がある事を
欲張りな僕はそんなことを思いながら
にやりと不敵な笑みをこぼした
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