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見るからに怖がりなあの子に近づくためには、警戒されないようにさりげなく行かなければならない。
僕はいつも優しく微笑んで「こんにちは、学校帰りかな?」なんてベターに切り出せば、大抵の子とは仲良くなれる。
そんなふうにあの子にも声をかけようとしたのに、何故か五十メートルの距離が縮まらない。
僕がいくら近づいても、あの子はいつの間にか離れているのだ。
まさか嫌われているのかとも心配したけど、いつも遠くから僕を見ているのだからそれはない。
本当は話したいけど勇気が出ないのだと考えれば納得できる。むしろあの様子からそうとしか考えられないのだ。
すぐにでも仲良くなって思う存分お喋りしたいけど、僕は強引に捕まえるなどの品のない行為は絶対にしない。
だからあの子が勇気を出してくれるのを楽しみに待っていよう。きっと近いうちに、僕の所へ来てくれそうな気がする。
そう信じている僕は、今日も遠巻きに見られるだけ。
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