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1´前略、初めまして。
中学1年。
誰もが新しい"始まり"に心を踊らせ、胸を高鳴らせたことだろう。
そんな中学1年の4月。
それが、《彼女たち》との出会いだった───。
「どーもー。平坂小から来ました、櫻木珠逢でーす。どーぞよろしくお願いしまーす…。」
さくらぎ みあ。
正直、名前だけでは女だと見られることもあるが、珠逢は男子だ。
この学園には『転校生』という名目で来ているものの、実質はそうじゃない。
"双子の姉"に会うために来たのだ。
これまで天涯孤独だった珠逢にとって、家族と会うのが楽しみでもあり、恐怖でもあるという何とも微妙な気分であった。
そんな中、《彼女たち》は話しかけてきてくれた。
「あなたが噂の転校生?あたしは姫宮阿都姫。よろしくね!」
そう言って微笑んでくれた少女。
名前の通り、小豆色の髪の毛をツインテールにしている。瞳も似たような色だ。第一印象は明るくて活発、といったところだ。
「えっと、私は櫻木美姫。あなたが噂の…弟かしら?」
キョトンと首を傾げる彼女もとても可愛らしい。茶髪でこちらは腰まである髪を下ろしている。茶色の瞳もまさに直視できない可愛らしさと言っても過言ではなかった。
その時は夢にも思わなかった。
珠逢の初恋はすぐそこに迫っていることが…。
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