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さっそくバルコニーまで飛び出し、景観を損ねないように申し訳程度に設置された柵から乗り出して海を見る俺を、笑いながら兄が引き戻す。
「こら海斗、後で海にも行くからそんな乗り出すなよ。見てるこっちが怖い。」
口調は怒っているが、優しく抱きしめられてたくさんキスをされる。
「んっ、はぁ、い。ごめんなさっん、」
ここが外だということも忘れて、りくちゃんの首に腕を回す。
さらに深いキスをされたかと思えば、ふっと離れてふわりと体が持ち上がる。
「海行きたい?それとも一緒に寝る?」
ベッドに下ろされたんだと気付いた時には、そんなことを意地悪な声で囁かれる。
一緒に寝る?なんて聞いておいて、絶対寝かせてくれなさそうな目をしているくせに。
「う、海行って風呂入りたい!!」
精一杯の反抗をしてみるも、あっさり却下される。
「風呂はいいけど、やっぱ海はなし。見るだけな。」
そう言われて、きょとんとはてなマークを浮かべていると、
「他のやつに見せたくないの。だから内風呂あるとこにしたのに。」
なんて、がしがしと頭を撫でられる。
「じゃ、じゃあ、一緒にお風呂はいる?」
上目づかい?というのか分からないが、俺の上に跨っている兄に目一杯かわいい顔をしてみる。
「はぁぁぁぁぁ。いいけど、声出すなよ?」
盛大につかれた溜め息と共に発された言葉の意味は、この数分後に知ることとなる。
あ、やべ。
これきっと誕生日プレゼントだよなー?
ありがとうって言うの忘れてた。
まあいっか。来年も一緒にいられるし。
そーだよね??りくちゃん!
Fin.
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