海の日

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「はい。」 そう言って、兄ちゃんが唐突に箱を渡してきた。 「ん?何これ?」 サイズは手のひらに乗るくらいで、何の変哲もない茶色い箱にアンティークのリボンが巻いてある。 「誕プレ。開けて。」 「えっ!?誕生日まだなんだけど!」 「知ってる。うみの日だもんな。思ったより早く来たから、渡したくなって。」 少し照れくさそうに視線を外している兄が、早く開けろと顎をしゃくる。 誕生日プレゼントをもらえるどころか、覚えていてくれたなんて思ってもみなかったから、どぎまぎして上手く開けられない。 「お、覚えてたんだね…」 手が震えているのを隠そうと、からかう様に笑ったが、上手く笑えてるか心配だ。 「ずっと覚えてた。今まで渡せなくてごめん。」 ふわりと後ろから抱きしめて、耳元で囁かれると手の感覚なんて忘れてしまう。そのまま固まっていると、顎を引き寄せられて優しくキスをされる。 「ん、ふっ…りくちゃん…」 ふわふわと力が抜けて、すっかり全身の感覚が無いが、りくちゃんに触れられているところだけはひどく熱く感じる。 「ん、うみ・・・そんなとろんとした目で見ないで?我慢できなくなるから。」 とりあえずプレゼントを開けるように、と促がされる。 相変わらず後ろから抱きしめられたままで、どうにか手を動かして一生懸命リボンを解く。
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