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「えっ・・・。うそ!これサジューの鋏!?」
箱の中にはものすごく可愛いアンティークの鋏が入っていた。
「あ、もしかして持ってる?母さんに送ってもらったんだけど。別のに交換もできるって。」
冷静を装ってそんな風に言っているが、少し拗ねたような表情を見せてくれているのがすごく嬉しい。
「持ってない!てゆーかこんな良い物もらえないよっ!」
「そ。よかった。よく使うものってなんだろうって考えたらさ、調理器具とかでもいいかなと思ったんだけど・・・」
肩に顔を埋めて、耳元で囁かれる。
耳に流れてくるすごく、すごく、甘い声は、からかう時の歯が浮くようなセリフじゃなくて、心の底から甘く溶かしてしまうような言葉で、
「あー、その、料理する時は一緒に居られるだろ。鋏だったら学校とかでも使うから、一緒に居られない時も俺のこと考えてくれるかな…とか。」
肩に触れたりくちゃんの頬がどんどん熱くなるのを感じる。
きっとその言葉を聞いている僕の方が、熱くなってるんだけど・・・
「りくちゃんっだいすきっ!!ありがとう!!」
がばっと抱きついてお礼を言えば、今度はにっこりと笑って意地悪な一言。
「あぁ、お返し期待してるから。」
うぅ・・・
りくちゃんの誕生日は山の日だ。
どーしよう・・・。
Fin.
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