山の日

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「おかえりー。お、遅かったね?ごはん食べる?」 両想いだと分かってから、兄ちゃんは毎日なるべく早く帰って来てくれているみたいだが、まだ慣れずにいる。 「食う食う。なに?今日忙しくて昼食えなかったからがっつり食いたい。」 そう言って着替えるのもめんどくさそうにネクタイを首に引っかけたまま、肩口から手元を覗いてくる。 「えっと、親子丼。あっためるからちょっと待って。」 鍋を温め直しながら卵を溶いていると、 「お。いいねー、飯大盛りにして」って言いながら後ろからぎゅーっと抱きしめられる。 「あー、疲れたー。」なんて言いつつもずっと後ろにへばりついている兄ちゃんに、恐る恐る尋ねてみる。 「ねぇ、りくちゃん。お、お誕生なんだけど・・・プレゼント、なにがいい?」 しばらく考えていたりくちゃんが後ろから手を伸ばし、鍋の火を止める。 「あのさ、うみ。フェラって知ってる?」 突然の単語にびっくりして心臓がばくばく言ってるのをどうにか押し込めて、言葉を返す。 「こ、言葉くらい、し、知ってるもん!!」 「あー童貞だもんなぁ」なんてニヤニヤしている顔が煩い。 「う、うるさい。俺はりくちゃんと違って一筋なの!」 そう言い返せば、バツが悪そうに言葉に詰まる。 困っているしかめ顔のりくちゃんをちらりと見上げて聞いてみる。 「して、ほしいの?」 「うん。だめ?」 肩口に顔を埋めて、耳元で囁かれる。だめ。そんな声で囁かれたら、何でも聞いてあげたくなっちゃう・・・ 「だめ。じゃない・・・けど、それが誕プレ?」 「うん。」 「だめ!!俺もちゃんとプレゼントあげたい!一緒にいないときも俺の事考えてくれるようなやつ!」 相手のためを想ってのプレゼントのはずなのに、自分の欲望をぶちまけてしまう。
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