水無田園にて白鷺と鵲の幻日遊泳

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夏に忘れられたサンダルを履いて 日の暮れた頭痛に悩まされる 土砂降り 素足に跳ね返る 今年も会えない 少し遠くの 隔てた先で 今も笑っているだろうか 如月 暗黙の別れを 今の季節に引き摺ったのだ 夜に覆い隠された背徳は薄れ 捻くれた頭痛を(おさ)められず 夕立 涙を曖昧に 濁しては 来年も会わない 立葵(タチアオイ)は項垂れたまま 梅雨に腐り、溶けるのだろう 水無月 思えばその頃だった 同じ季節でも酷く感傷的で 再来年も その先も会えない 会わない (きた)七夜月(ななよづき) (カササギ)は鳴かず 渇く季節へと籠を棄て、去った
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