花が好きな君だから

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 高校の卒業式を最後に、彼女とも僕は会えなくなった。  それでも、僕の熱は冷めることは無かった。目的の為に、そういう意思だけが鋭くなっていく感覚だ。  大学では植物関係、特に品種改良と薬学を必死に学んだ。目的を達成する為に、これが一番の近道と信じて、僕は自分の全てを注ぎ込む。  大学四年になり、望んだ答えでは無いが、予想外の部分で成功を果たした。  既存のイチゴの改良に成功した。そのつもりは無かったのだが、偶然と運が重なった。  品種自体の変化はほとんど無い。ただ、病気に強くなり、味のムラが減り、相対的に甘味が増す。長所が増え短所は変わらないというとんでも無い成果だった。  僕はその成果と情報を迷わず売り払った。僕の目的とは違うからだ。ただ、売る前に、成果としてイチゴの花を写真に取り、彼女にメールで送った。 [見たことない花だね!新種かな?珍しい物をありがとう!]  僕は何も言っていないし、既存のイチゴと見た目の差異はほとんど無い。それでも彼女は花だけで新種と当てた。  色々な意味で、僕は彼女に勝てそうにないと悟り、笑った。  イチゴを売り払った金銭で、僕は更に研究を進めた。  大学を卒業し、おじいちゃんの畑を一部借り、それを仕事にしながら更に研究を進める。  ここまで行くと、家族は皆僕を信じてくれていた。性格には僕の情熱と、頑固な性格をだが。
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