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無数の隕石が密集隊形で一直線に飛んで来るのも不可解だが、隕石群は加速していた。この星の微弱な引力では計算が合わない。原因は不明だ。しかも個々の速度にバラツキがあるのでここへ近づくに従って隊形が崩れて前後に伸び始めている事も判ったが、だからといってほぼ全てがここに命中することには変わりはない。
そして、無念だが我々の脱出は叶わない。
宇宙船の椅子は足りているが逃げ出す準備が間に合わない。加速している事を考慮に入れると我々には数時間も残されていないだろう。
数日前に気付いていれば…と悔やまれるが、基地の目であり耳である高性能な観測設備は既に機能していない。宇宙空間に配備されていたそれらの観測結果を地球へ向けて送る為のデータリレーの拠点がこの惑星基地だったが、肝心の“目と耳”が真っ先にこの隕石群の“先触れ”によって破壊されてしまっていたのだ。
しかし何かしていないと正気を保てない。私がこうして最後の……最後の口述記録を送っているのも同じ理由だ。だがこの通信が最も近い基地に届くにも数ヶ月かかる。
お…地震だ。勿論まだ衝突には早い。隕石群が見つかった前後からこの地震は起きはじめたのだが、実はこの星は基地建設の下地調査の時から、中心核の冷え切った死んだ星である事は判っていたし、いくら数が多くても件の小惑星群には当たる前から地殻変動させるほどの質量はない。
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