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この惑星は最初から実に変で、まるで碇を下ろした船のようにピタリとこの三次元座標に固定された状態で存在していた。勿論そんな事は不自然だ。弧空の観測点としては好都合だが、無重量空間でモノを制止させるには神懸かり的なコントロールを必要とする。まして惑星である以上、太古は生みの親であるどこかの恒星を巡っていた筈だ。
未だ見ぬ知的生命体の人工物ではないかという説もあったが、それを確認するだけの科学力はいまだ人類にない。発見以来の四半世紀、何事もなかったので基地は建設され、私自身がそれをつきとめたくてはるばるここへやって来たが、それももうお仕舞いだ。
基地にいても死ぬ事には変わらないので、宇宙服で外に出た。空を見ると、いつのまにかアレが空いっぱいに拡がっている。予想以上に早い。どれが最初の一個目になるのかは見分けられないが、誰かがレーダーを見ながらカウントダウンをはじめた。
5・4・3・2…反射的に首をひっこめる。お笑いぐさだ。…地響き。ついに一個目が落ちた。基地直撃はまぬがれたようだが、様子が変だ。
視界一面がうす桃色に光っている。何かが燃えているのか?大気もないのに?いや、違う。
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