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緊急通信、続報。…確信が持てた。この通信が届く頃、我々はこの世にはいない。理由は先に発信した件が原因だが、この事象は実に興味深いことが多い。最後まで報告できれば良いのだが。
確実に言えるのは、時間が残されていない事。こんな辺境惑星基地の貧弱な設備に頼らなくても、その小天体はすでに観測室の窓からは地球で眺める月ほどの大きさに見えているからだ。しかも刻一刻と大きくなっている。
それはまるでおぼろ月のようにぼやけている。我々がいるこの火星ほどの大きさの惑星には大気がないので光が滲む事などありえない。だが事実だ。
実は小天体などではなく、数万かそれ以上におよぶ小さな隕石の“群れ”だというのが理由だった。
いずれにせよあの大きさの小惑星との衝突ではまず助からないが、無数の隕石群となると、そのまま惑星への絨毯爆撃となる。大気の厚い地球ならその程度の隕石など流星雨にもならずに燃え尽きてしまうだろうが、真空のここではすべて直撃だ。
ただ、無数の隕石はバスケットボール程度の大きさで、奇妙な事にみな綺麗に同じ大きさと紡錘形状だというあり得ない分析結果が出ている。
不思議な現象は他にもある。
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