虹がかかる場所に冒険はある

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ヴァスティの希望に満ちあふれた表情を見てゲリトはでも…と小さく唸った。 この村は決して大きくない。 村人の数は限られてくる。 その上年頃の女の子となるとさらに少ない。 時折他の村からお使いでやってくる女性はいるがそれも頻繁な話ではないので年頃の少年にとって新しい女の子を見るチャンスといえば大変貴重で逃すべきではない絶好の機会であることは明白だ。 「でも、あそこへは、父さんが行っちゃ駄目だって今でも言うし。確かに危ない場所ではないけど心配はかけたく…」 もごもごと反対しはじめたゲリトの隣に大きな干し草の束を投げ込むとヴァスティはそこにピッチフォークも投げ置いた。そしてその反対の真横に座り込むとゲリトの肩を乱暴に抱き寄せ顔を近寄せた。 「おい。ゲリト俺らもう小さい子どもじゃないんだ。だいたいこの歳で”あそこへ行っちゃあいけません”なんて過保護が過ぎるんだよ。行くのは朝だぞ?それに、可愛い、女の子だったら、どうするんだよ!お前はそれを見逃してもいいのか」 ヴァスティは”可愛い”という言葉を強調してゲリトの顔を覗き込んだ。ゲリトはぐらぐら揺れる気持ちに百面相をする。ゲリトは考えている事がいちいち顔に出やすいのだ。     
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