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「それは!それはそうだけどそうゆう問題じゃないと…ない、とは思うけどでも…やっぱり、あー…」
「ほら行こうぜゲリトお前だって見たいんだろ?…ここだけの話、実際美少女だって噂だぜ?」
ヴァスティがだめ押しをして小さくウインクをするとゲリトは一瞬目を見開いて不安そうに目を泳がせた。ヴァスティにとってこうして次々とおかしな表情をするゲリトを見るのは日課のようなものだ。さあ今にこちらに落ちるぞとヴァスティがにやつくとゲリトが重い口を開いた。
「ぅ…わかったよヴァスティでも本当に、鶏が鳴くまでには帰るから!心配かけるのは嫌いだ」
何かの格闘を終えかすかに首筋から耳の辺りを上気させたゲリトが念を押すとヴァスティはパン!と両膝を叩いて立ち上がった。尻についた干し草を適当に払うとゲリトの頭をぐしゃぐしゃにかき乱す。
「やめろよっ」
「そうこなくっちゃな!じゃあ明日の朝!」
そう言い残すとヴァスティはまた大股でいそいそと坂道を駆け上がって行った。ゲリトはその背を大人しく見送っていたがふとまだ干し草が残っているのに気づき慌ててヴァスティを呼び戻そうとしたが時すでに遅し。逃げ足の速いヴァスティはゲリトの声の届かないところまで行ってしまっていた。
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