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 ボクは滑らかな壁に自分の姿を映した。踊る度にゆらゆらと揺れる身体を目で追う。  いつもの一人遊びだ。  兄弟が部屋の隅で苦しそうに身体を揺らす。  その様子が壁に映り込んだ。  ボクはすぐに駆け寄った。 「大丈夫? まだ苦しいの?」  兄弟は幾度か大きく胸を上下させる。大きな瞳が中を仰ぐ。  ボクを安心させる為に無理矢理身体を起こした。 「大丈夫だよ。ほら」  そう言うといびつな手足を豪快に振り回して見せた。  その度に兄弟の身体がふわふわと浮く。 「それなら、いいんだ」  ボクの言葉に、兄弟は安心したようで再び身体を横たえた。  規則正しい呼吸が聞こえる。  ボクは一人遊びを止めて兄弟の傍らに寄り添った。  暖め合うように身体を寄せる。  壁には二つの影が揺らめいていた。  ボクたちの吐き出す息が、静かに部屋の流れを作る。  兄弟の具合が、良くないことをボクは知っている。  寒い冬のせいだろうか。  いつも寒さに耐えかねて、ぐったりと元気がないのはボクの方なのに、今回だけは違った。  冬はとうに過ぎて暖かな日差しがボクらの部屋に差し込むようになっても、兄弟はずっと怠そうだった。  
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