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「そうどす。あてのは早う言うたら夢占い、自白剤どすな。人さんは正気の時は、本音なんか殺されてもお言いやございまへんさかいにな。めいりん、ちゅうのは、あんさんの潜在願望どす。女らしいてよろしやおへんか。ま、おぶ、お上がりやす」
「はい」
「あんさん、最近、何かご本、お読みやしたか」
「は」
「ゆうべ寝る前、何のご本、お読みやしたん」
「・・・魯迅の・・・・えーと」
「阿Q世伝、どすか」
「いえ、えっと・・・・そう云うたらこのごろは、パールバックの「大地」とか、「紅楼夢」とかを・・・」
「また、シナのもんばっかりやな」
「はい、北京語の副読本に」
「ほう、北京語」
「第二外国語でございます」
「また何でマンダリン?」
「父が毎晩、短波の北京放送を・・・戦争の時は、北支におりましたそうで。そのせいか、私も少しは聞き取れますので」
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