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・・・あの仲居、お腹にややこ出来てる。・・・このお客、山師やな。・・・こっちの旦那、肝臓いかれてるわ。つけは早うに払うて貰わんと、長うないわ。・・・こっちの客、近いうちに大金転がり込んでくる・・・株か。相場か。
我ながら恐ろしいほど当たる。
とうが経って、年季も明けて後、長年馴染みのご住職がやもめになられた福露寺へ。
「八重子はん、福露寺の後添いにお入りて、えらいご出世やなあ。けなるいわあ、と思うておりましたら、何の何の。今だに内縁のままでおいやすのやて」
「はあ、息子はんのきついお達しやて。くろうとのおなごはんは、み仏のお気には染まん、て」
「八重子はんも、いろいろと浮名の高いお人やしなあ」
「そやけど、あの若い方の和尚っさんかて、毎晩、先斗町の界隈、えらい羽振りで歩いたはりますがな」
「そうそう、いえ、人さんから聞きましたんやけど、映画俳優のだれそれと舞妓の取り合い、しゃはったて」
「八重子はんも、成さぬお子たちと、色々とご気苦労なことどすなあ」
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